仕事の相棒として軽バンを「職人仕様」にカスタマイズしたいけれど、一体どこから手をつければいいのか、悩みますよね。 どのベース車が本当におすすめなのか、特に人気のエブリイ、ハイゼット、N-VANにはどんな違いがあるのか。
また、内装カスタムの定番である床張りや収納棚のDIYは、どれくらいの価格で実現できるのか、具体的な方法も気になるところです。 中古車をベースにする場合の注意点や、おしゃれと実用性を両立するアイデアを探している方も多いかもしれません。
現場での作業効率を上げ、大切な道具を守り、ときには車中泊や休憩スペースとしても活用したい。 そんな多様なニーズに応えるのが「職人仕様」の奥深さです。
この記事では、軽バンを最強の「走る作業場」にするための具体的なステップを、ベース車両の選定から内装カスタム、電源確保まで、分かりやすく解説していきます。
- ベース車両(エブリイ、ハイゼット等)の選び方
- 職種別・床張りキット(DIYと価格)の比較
- 現場で必須の100V電源(インバーター)構築術
- プロ仕様の収納棚と専門業者の見極め方
理想の「軽バン 職人 仕様」基礎編
「職人仕様」と一口に言っても、その第一歩は堅実な土台作りから始まります。 いきなり高価な棚やインバーターに手を出す前に、まずはあなたの仕事のスタイルに最適な「キャンバス」となるベース車両を選び、その荷室を保護し作業効率を格段に上げるための、最も重要で基本的な内装カスタムを見ていきましょう。
この土台がしっかりしているかで、後々の使い勝手が大きく変わってきます。
最強のベース車は?おすすめ3選
軽バンを職人仕様にするなら、ベース車両の選定が最も重要です。 デザインや好みも大切ですが、「何を(長尺物か、重量物か、細かい道具か)」「どれだけ(積載量)」「どう積むか(積み下ろしの頻度や方法)」という、ご自身の業務内容に直結する部分で見極める必要があります。
現在、職人さんたちの間で人気が高く、中古車市場でのタマ数(流通量)やカスタマイズパーツが豊富なのは、実質的に以下の3つのモデルグループに集約されます。
- スズキ・エブリイ(と、そのOEM車)
- ダイハツ・ハイゼットカーゴ(と、そのOEM車)
- ホンダ・N-VAN
「OEM(オーイーエム)」というのは、あるメーカーが製造した車を、別のメーカーが自社ブランドの車として販売することです。 例えば、日産の「NV100クリッパー」やマツダの「スクラムバン」は、スズキの「エブリイ」がベースになっています。
この関係を知っておくと、パーツ選びの幅が格段に広がるので、覚えておいて損はありません。
4ナンバー(貨物)と5ナンバー(乗用)の違い
軽バンには、荷室優先の「4ナンバー(軽貨物車)」と、人の快適性優先の「5ナンバー(軽乗用車=ワゴン)」があります。 職人仕様のベースとしては、ほぼ例外なく「4ナンバー」が選ばれます。
税金面(営業用軽自動車税など)での優遇もありますが、それ以上に根本的な設計思想が違うからです。
【4ナンバー(バン)が選ばれる理由】
- 荷室最優先の設計 : 後部座席は簡素で、折りたたむと荷室と一体化し、広くフラットな空間が生まれます。
- 耐久性の高い床 : 重量物の積載を前提に、床や内張りが丈夫に作られています。
- 最大積載量の確保 : 乗用ワゴンよりも多くの荷物を積むことが法的に認められています。
5ナンバーのワゴン(例:エブリイワゴン)は、後部座席の乗り心地が良く内装も豪華ですが、その分、荷室空間や積載重量、床の完全なフラット化において制約があります。 仕事道具を満載にする土台としては、4ナンバーのバンが最適解となります。
新車・中古車を問わず、まずはこの3大モデルの4ナンバー車を軸に検討するのが王道と言えるでしょう。 特に中古車で探す場合は、走行距離や修復歴だけでなく、前オーナーがどのような使い方をしていたかも荷室の状態から推測できます。
中古軽バン購入時の注意点5選の記事も参考に、良い個体を見つけてください。
エブリイ、ハイゼット、N-VAN比較
では、具体的に3大モデルにはどのような特徴があるのでしょうか。 それぞれの強みと、考慮すべき点を比較してみましょう。
| ベースモデル名 | OEM供給モデル名 | 駆動方式 | 荷室の特徴と強み |
|---|---|---|---|
| スズキ エブリイ | 日産 NV100クリッパー
マツダ スクラムバン 三菱 ミニキャブバン |
FR | 伝統的なFRで耐久性に定評。アフターパーツの数が圧倒的に豊富で、カスタマイズの自由度が最も高いのが魅力です。荷室長も長く取られています。 |
| ダイハツ ハイゼットカーゴ | トヨタ ピクシスバン
スバル サンバーバン |
FR | 荷室の凹凸を減らし、フラットな空間を追求。特に荷室側面のユーティリティナット(ネジ穴)が豊富で、DIYで棚などを設置する際に非常に便利です。 |
| ホンダ N-VAN | なし(独自設計) | FF | FF(前輪駆動)ならではの低床設計と、助手席側のセンターピラーレス構造が最大の特徴。床が低いため重い物の積み下ろしが楽で、助手席側から長尺物も簡単に出し入れできます。 |
【補足】各モデルの考慮点
- エブリイ / ハイゼット(FR勢): エンジンが運転席・助手席の下にあるため、夏場はシートが熱くなりやすい、エンジン音がやや大きい、という点はFFのN-VANに比べて不利になる場合があります。
- N-VAN(FF): FFの低床設計は大きなメリットですが、荷室長自体はFR勢に比べてわずかに短い場合があります。 また、ピラーレス構造は便利ですが、剛性を確保するため車体設計に工夫が凝らされており、車両価格が比較的高めになる傾向があります。
OEM関係の重要性(再掲)
例えば「エブリイ用(型式: DA17V)」として売られている床張りキットや棚の多くは、「NV100クリッパー(型式: DR17V)」や「スクラムバン(型式: DG17V)」にも無改造で装着可能です。 パーツを探す際は、ご自身の車の「ベースモデル名」と「型式」も一緒に検索することをおすすめします。
内装カスタムの第一歩、床張り
新車でも中古車でも、軽バンを手に入れた職人さんの多くが最初に行うカスタム。 それが「床張り(フロアパネル施工)」です。
「なぜ純正のカーペットのままではダメなのか?」と疑問に思うかもしれませんが、床張りには車両保護と作業効率アップのための明確な目的があります。
1. 車両保護(サビ・汚れ・凹み防止)
純正の多くは薄い布製カーペットです。 現場から戻った際、濡れた機材や泥のついた長靴で乗り降りすると、すぐに汚れ、湿気がこもります。
これが床下の金属部分からサビが発生する最大の原因になります。 また、工具箱の角を落としたり、重い資材を引きずったりすると、薄い純正床ではすぐに下の鉄板が凹んでしまいます。
2. フラット化(作業効率アップ)
軽バンの荷室は、後部座席の固定金具やボディの構造上、微妙な凹凸があります。 この段差がクセモノで、工具箱がガタついたり、コンパネのような板材が真っ直ぐ積めなかったり、小さなストレスが蓄積します。
床張りキットはこれらの段差を解消し、完全なフラット空間を生み出すことで、資材を安定させ、積載効率を最大化します。
3. 清掃性の向上
現場作業では、泥、砂、油、塗料、木くず、ビスなど、様々な汚れが荷室に持ち込まれます。 純正カーペットにこれらが入り込むと、掃除機で吸い取るのも一苦労です。
その点、合板やクッションフロア仕様の床張りなら、ほうきで掃いたり、雑巾で拭き取ったりするだけで、清掃が極めて容易になります。
床張りは、高価な工具や資材を守り、車の資産価値を維持しつつ、日々の作業効率を上げるための「必須の武装」と言えます。
床張りDIYとキットの価格
床張りは、専門業者に頼む方法もありますが、車両専用にカットされた「DIYキット」が豊富に販売されているため、DIYで挑戦する方も非常に多いです。
価格帯は、選択する材質やカバーする面積(荷室全面の「フルサイズ」か、後部座席使用を考慮した「ミドルサイズ」か)によって大きく変動します。
【DIYキットの価格目安】
- 標準合板(ミドルサイズ): 約 16,000円~
- 高耐久合板(フルサイズ): 約 60,000円~
※上記はあくまで一般的な市場価格の目安です。 購入時期や販売店、オプションによって変動します。
DIYキットの最大のメリットは、車種専用に精密カットされているため、パズルのように敷くだけで設置が完了する手軽さです。 ビス止め不要の製品も多く、賃貸の部屋にクッションフロアを敷く感覚で施工できます。
もちろん、コストを徹底的に抑えたい場合は、ホームセンターで1枚ものの合板(コンパネなど)を購入し、自分で荷室の形に合わせてカット(「型取り」)する方法もあります。 ただし、ホイールハウス周りの曲線や、ボディの微妙な凹凸に完璧に合わせるのは、かなりの手間と技術が必要になるため、DIY初心者にはハードルが高いかもしれません。
職種別のおすすめ床材ガイド
床張りキットを選ぶ上で、価格と同じくらい重要なのが「材質」です。 高価な材質が必ずしもベストとは限りません。
あなたの職種によって、最適な材質は異なります。
| 材質 | 特徴 | 推奨される職種(例) |
|---|---|---|
| アピトン合板 | 非常に硬く高耐久。 耐水性・耐腐食性に優れる(トラックの荷台に使われる)。 高価。 |
設備工、配管工、重量物運搬
(重い工具箱や発電機、濡れた機材を頻繁に積む) |
| 標準合板 | コストパフォーマンス良好。基本的な耐久性あり。表面は無塗装が多い。 | 電気工、内装工、配送業
(比較的軽量な道具、部材、段ボール箱がメイン) |
| クッションフロア仕様 | 合板の表面に住宅用クッションフロアを圧着。 完全防水。清掃が最も容易。 表面はやや柔らかい。 |
塗装工、清掃業、造園業、食品配送
(液体、薬品、土、泥、水を頻繁に扱う) |
| パンチカーペット | 合板の表面にカーペット生地を貼付。 荷物が滑りにくい。積載物の傷つき防止。 清掃性は劣る。 |
IT機器設置、音響、精密機器運搬、内装仕上げ
(傷つけたくない高価な機材、内装材を運ぶ) |
自分の作業スタイルで選ぶ
- 重量物の「引きずり」が多いか? → 多いなら、表面が柔らかいクッションフロアは避け、アピトンや標準合板がおすすめです。 クッションフロアは、重量物を引きずると表面が破れる可能性があります。
- 水濡れや液体の扱いが多いか? → 多いなら、クッションフロア仕様が最強です。標準合板は、濡れたまま放置するとカビや腐食の原因になり得ます。
- 積載物の「滑り」を防ぎたいか? → 多いなら、パンチカーペットが有利です。 合板系は滑りやすいため、荷物の固定がより重要になります。
例えば、重量のある発電機やコンプレッサーを頻繁に積み下ろしするのに、クッションフロアを選ぶと早期に破損する可能性があります。 逆に、土や泥で汚れることが多い造園業の方が、汚れが染み込みやすいパンチカーペットを選ぶと、清掃が大変になります。
ご自身の作業内容をよく考えて選ぶことが大切です。
車両保護とフラット化の重要性
床張りの項目で触れましたが、この「保護」と「フラット化」の重要性は、軽バンを長く、快適に使うために、いくら強調してもしすぎることはありません。
1. 車両保護 = 資産価値の維持
これが最も現実的なメリットかもしれません。 軽バン(特に4ナンバー貨物)は、内装が簡素な分、鉄板がむき出しになっている部分も多いです。
ここに工具や資材が走行中に当たり続けると、塗装が剥げ、そこからサビが広がります。
数年後に車を乗り換える際、荷室がサビだらけ、ベコベコに凹んでいると、リセールバリュー(売却時の査定額)は確実に下がります。 床張りは、将来の売却時に「数十万円」の差を生む可能性がある、車両への「投資」とも言えます。
2. フラット化 = 作業効率と安全性の向上
荷室のフラット化は、積載効率を極限まで高めるために不可欠です。 わずかな段差があるだけで、資材を真っ直ぐ積めなかったり、工具箱が傾いて中身が散乱したりします。
床張りが生み出す「完全なフラット空間」は、日々の小さなイライラを確実に減らし、精神的な疲労軽減にも繋がります。
また、荷物が安定することは、荷崩れを防ぎ、運転中の安全性向上にも直結します。 急ブレーキ時に荷室で工具が飛散するような事態を防ぐ、第一歩となります。
本格的な「軽バン 職人 仕様」応用編
床張りが「守り」のカスタムなら、次に取り組むのは「攻め」のカスタムです。 これが、単なる「荷物を運ぶ車」から、プロの「走る作業場」へと進化させる分岐点となります。
現場での作業性を飛躍的に高める電源システムの構築や、道具を機能的かつ安全に収納する棚の設置など、より本格的なステップアップを見ていきましょう。
100V電源確保とインバーター
「職人仕様」の核となる機能が、現場でのAC100V電源(家庭用コンセント)の確保です。 これにより、現場に電源がない場合でも電動工具(丸ノコ、ドリルなど)を使ったり、複数のバッテリーを同時に充電したりできます。
この電源を生み出すのが、車のバッテリー(DC12V)をAC100Vに変換する「DC/ACインバーター」という装置です。
ただし、ここで絶対に誤解してはいけないのが、「インバーターをシガーソケットに挿せばOK」というわけではない、という点です(特に高出力の場合)。
サブバッテリーシステムの必要性
職人仕様で求められる1000Wを超えるような大出力のインバーターは、車のメインバッテリー(エンジン始動用のバッテリー)から直接電源を取る(通称「バッ直」)配線が必要です。 しかし、エンジン停止中にメインバッテリーから大電力を使うと、数分でバッテリーが上がり、エンジンが始動できなくなるという致命的なトラブルに繋がります。
そこで、職人仕様として電源を安定的に使用するには、エンジン停止中も電力を供給するための「サブバッテリーシステム」の構築が推奨されます。 これは、メインバッテリーとは別にもう一つバッテリー(サブバッテリー)を積み、走行中にオルタネーター(発電機)からサブバッテリーへ充電し、使用時はメインバッテリーとは切り離してサブバッテリーの電力だけを使う仕組みです。
このシステムを組むことで、メインバッテリー上がりの心配をせず、エンジン停止中も安心して電動工具や照明を使えるようになります。
正弦波1500Wが必須の理由
インバーター選びで絶対に失敗してはいけないポイントが2つあります。「波形」と「出力」です。 これを間違えると、「インバーターを買ったのに、工具が動かない」という最悪の事態になります。
1. 波形は「正弦波(せいげんは)」一択
インバーターには、安価な「矩形波(くけいは)」や「修正正弦波」といったタイプがあります。 これらは波形がカクカクしており、単純なヒーターや電球などには使えますが、職人さんが使う精密な電動工具、電子制御の充電器、PC、計測機器などは、必ず「正弦波(Pure Sine Wave)」を選んでください。
家庭用コンセントと同一の滑らかな波形でないと、モーターが異常発熱したり、電子基板が正常に動作せず、最悪の場合、高価な工具や機器が故障するリスクがあります。 「安物買いの銭失い」になりかねない、最も重要な分岐点です。
2. 出力は「定格1500W」クラス(サージ電力に注意)
「消費電力800Wの丸ノコだから、1000Wのインバーターで大丈夫」と考えるのは早計です。 これが「インバーターの罠」です。
丸ノコやコンプレッサー、ドリルといったモーターを搭載した工具は、起動する瞬間、定格消費電力の2倍~3倍(時にはそれ以上)の「サージ電力(突入電流)」を必要とします。
- 例:消費電力800Wの丸ノコ → 起動時のサージ電力 1600W~2400W
この場合、定格1000Wのインバーターでは、起動時のサージ電力に対応できず、インバーターの保護回路が働いて即座に停止してしまいます。 これでは仕事になりません。
そのため、職人仕様としては、複数の工具の使用やバッテリー充電も考慮し、「定格出力1500W」(=サージ最大3000W対応など)クラスの、余裕を持った高性能モデルが推奨されます。
車載インバーターの取り扱いは、その安全性や正しい使い方について専門的な知識が必要です。 一般社団法人日本自動車連盟(JAF)も、製品の選び方や配線の注意点、火災の危険性について詳しく解説しています。
(出典:JAF クルマ何でも質問箱「クルマで家電!?『DC/ACインバーター』の正しい使い方」)
【警告:電源システム構築の危険性】
インバーターやサブバッテリーの設置、特に高電流が流れる「バッ直」配線は、配線を間違えるとショートし、車両火災に繋がる重大な危険を伴います。 バッテリーのプラスマイナスの誤接続、ヒューズの非設置、配線コードの太さの選定ミスは、命に関わる事故の原因となります。
DIYに絶対的な自信がない場合は、絶対に無理をせず、電装系に詳しい専門の整備工場や、キャンピングカービルダーなどの架装業者に必ず相談・依頼してください。
棚の自作とDIYのポイント
荷室の整理整頓は、作業効率に直結します。 「あの道具どこだっけ?」と探す時間は、プロにとって最大の無駄です。最も低コストで、自分の道具にピッタリ合わせられるのが、木材やイレクターパイプを使った棚の自作(DIY)です。
DIYシェルフのメリットは、言うまでもなく低コスト(主に材料費)と、自分の道具のサイズや使い方に合わせた完全な自由設計にあります。 デメリットは、製作に時間がかかること、木材は重くなりがちなこと(=燃費悪化)、そして何より「安全性」の確保が難しい点です。
安全な棚を組むための必須条件
自作の棚が、万が一の事故や急ブレーキ時に凶器となってはいけません。
- 1. 車両への強固な固定走行中の振動やG(加速度)で棚が崩壊したり、工具が飛散したりしないよう、車両のボディに強固に固定することが絶対条件です。 前述したハイゼットカーゴの「ユーティリティナット(ネジ穴)」や、車種ごとの既存のボルト穴を最大限活用し、L字金具などでしっかりと固定してください。
- 2. 重量バランスの考慮重い工具(ハンマードリル、発電機など)は必ず棚の下段に、軽いもの(ビスケース、養生材など)は上段に配置し、重心を低く保つことが運転の安定性にも繋がります。
- 3. 荷物の固定(飛び出し防止)棚を作っただけでは終わりません。 走行中に引き出しや工具箱が飛び出さないよう、ラッチ(留め具)を付けたり、ゴムバンドやネットで固定する工夫が不可欠です。
プロ仕様の収納システム
「DIYの時間は取れない」「安全性や耐久性、そして顧客の目も意識したプロとしての外観も重視したい」という場合は、市販されているプロフェッショナル・ストレージシステムが有力な選択肢となります。
例えば、「Ogushow(オグショー)」のようなトランスポーター(バイクなどを積む車)専門店が展開する「ESパーツ」シリーズなどが有名です。
これらのシステムは、単なる棚とは一線を画します。多くは金属製(アルミなど)で軽量かつ高剛性なのが特徴です。 また、単なる棚を置くのではなく、まず壁面に基盤となるパネル(ESウィンドウパネルなど)を取り付け、そこへトレーやフック、ベッドシステムなどを自由に追加・拡張していける「エコシステム」として設計されています。
【プロ仕様システムのメリット】
- 高い安全性と耐久性 : 車両への固定が前提で、金属製のため頑丈です。
- 軽量性 : 木工で頑丈に作ると重くなりがちですが、アルミ製などは軽量で燃費への影響も抑えられます。
- 拡張性と再利用性 : モジュール化されており、後からパーツを追加したり、車を乗り換えても一部のパーツを移設できる場合があります。
- プロとしての外観 : 整然とした金属製のシステムは、顧客への信頼感にも繋がります。
もちろん、価格はDIYに比べて非常に高価(例:トレー1つで18,000円程度~)になりますが、「時間を買う」「安全性を買う」「信頼性を買う」という観点では、合理的な初期投資と考えることもできます。
車中泊や休憩スペースの確保
「職人仕様」といっても、仕事専用とは限りません。 特に早朝からの現場や遠方での作業が続く場合、現場での長時間の待機、悪天候時の避難場所として、休憩や「車中泊」の機能を求める方も増えています。
床張りの延長線上にある「ベッドキット」は、その代表例です。普段は荷室の一部として道具を積載しつつ、必要な時だけ(多くは後部座席を倒した上に)展開してフラットな就寝スペースを作れる製品が、各車種専用に販売されています。
ベッドキットには、荷室全面を覆うタイプ、片側だけを展開して長尺物と共存できるタイプ、ベッド下を大きな収納スペースとして使える「嵩上げタイプ」など、多様なバリエーションがあります。
前述の電源システムを構築しておけば、車内でPC作業をしたり、電気ポットでお湯を沸かしたり、電子レンジで食事を温めたりといった、オフィスや休憩室さながらの快適性も確保できます。 ホンダ N-VANなどは、その低床設計とフラットスペースから、DIYでの車中泊カスタムのベースとしても人気があります。 (関連情報:DIY!N-VANで週末車中泊!費用と始め方)
仕事の効率化だけでなく、趣味(釣りやキャンプなど)とシームレスに両立できるのも、現代の「職人仕様」の魅力の一つですね。
専門の架装業者という選択肢
DIYや市販パーツ装着のレベルを超え、自社の業務内容に完全に特化した「ワンオフ(一点物)」の車両を求める場合、専門の架装業者(ビルダー)に依頼するフルオーダーが最終的な選択肢となります。
「架装業者」と一口に言っても、その得意分野は様々です。
1. キャンピングカービルダー
キャンピングカー製作を本業とするビルダーです。 FRP成形や高度な木工技術、断熱施工、そして何よりサブバッテリーシステムなどの電装系に高い技術を持っています。 快適な休憩スペースや車中泊機能、効率的な電装システムを組み込んだ職人仕様をワンオフで製作するのに向いています。
- (例)かーいんてりあ高橋(長野県)、キャンパー厚木(神奈川県)など
2. 商用車特化ビルダー
キャンピングカーとは異なり、より「働く車」の機能性や耐久性に特化したビルダーです。 雨天作業用の幌(ほろ)の設置、重量物に対応した床の補強、特殊な工具専用の固定ラック製作など、タフな現場のニーズに応えるノウハウを持ちます。
- (例)株式会社スパロボ(大阪府)、カワハラボディー(大阪府)など
業者選びのポイント
ご自身のニーズが「快適な休憩スペースや電装系」なのか、「純粋な作業効率やハードな使用に耐える耐久性」なのかを見極め、依頼先を選ぶことが重要です。 まずは近隣の専門業者を探し、ウェブサイトで「施工実績」を徹底的に確認し、自分の職種やイメージに近い事例があるかを見極めましょう。
(まとめ)あなたの「軽バン 職人 仕様」構築法
「軽バン 職人 仕様」の構築は、まさに十人十色。完成品を買うのではなく、あなた自身の仕事内容に合わせて、日々進化させていく「最高の道具」を作り上げるプロセスです。
その道筋は一つではありません。
- コスト重視のDIY派 : まずは床張りと棚の自作から。自分の道具に合わせて最適化。
- 機能重視の技術派 : 電装系に投資。「正弦波1500W」インバーターを導入し、現場の生産性を最大化。
- 効率・外観重視のシステム派 : Ogushowなどのプロ仕様システムを導入し、時間と安全、信頼性を買う。
- 完全最適化のフルオーダー派 : 専門ビルダーに依頼し、自社の業務に100%特化した究極の1台を製作。
まずは本ガイドの基礎編で触れた、ベース車両の特性(特にOEM関係)を理解し、ご自身の職種に合った床材で荷室を保護することから始めましょう。 そこからご自身の予算や技術、そして「現場で何を一番解決したいか」を明確にして、あなただけの「軽バン 職人 仕様」を見つけてください。
【免責事項】
この記事で紹介した価格、製品仕様、業者名などは、2025年11月時点での調査に基づく一般的な目安や一例です。 実際の導入にあたっては、必ず販売店やメーカーの公式サイトで最新の情報をご確認ください。
特に電源システムの構築や車体への架装(穴あけ加工など)は、専門的な知識と技術を要し、誤った施工は重大な車両火災や事故に繋がる可能性があります。
安全性を確保するため、最終的な判断や作業は、信頼できる専門家や整備工場にご相談されることを強く推奨します。
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